COLUMN

- 塾長のコラム -

2026/04/04 (土)

なぜ高校に入ると英語が苦手になるのか(その3)

― 単語学習の誤りと正しい覚え方

脇英語研究室塾長の脇文広です。

これまで「なぜ高校に入ると英語が苦手になるのか」というテーマで、
・文法学習法の誤り
・英文に触れる量の不足
という二つの問題を見てきました。
本稿では、このシリーズの締めくくりとして、「単語学習の誤り」について考えます。

  • 語彙量の壁

まず、高校英語では語彙量が一気に増えます。
中学で必要とされる語彙が約1600語であるのに対し、大学入試では4000語以上、難関大ではさらに多くの語彙が求められます。

そのため、高校に入って急に「単語を覚えきれない」と感じ、英語に苦手意識を持つ生徒は少なくありません。

  • 本当の原因はどこにあるか

ただし、ここで考えるべきなのは、
語彙量が増えること自体が問題なのではないという点です。

同じように多くの単語を覚えなければならない状況でも、着実に力をつけていく生徒がいる一方で、なかなか定着しない生徒もいます。

この差を生むのは、多くの場合、単語そのものの難しさではなく、覚え方の違いです。

たとえば、

  • 一度で覚えようとする
  • 見るだけで終わる
  • 復習の仕組みがない

こうした学習では、努力しても定着しにくいのです。

  • 5回復習サイクル

ではどうするか。
まず第一に、回数を重ねて定着させることです。

具体的には、次のように進めます。

  • 1日目:30語覚える
  • 2日目:前日の30語を復習+新しく30語
  • 3日目:1日目+2日目の復習+新しく30語
  • 4日目:同様に復習+新出
  • 5日目:同様に復習+新出
  • 6日目:2日目の復習からスタート(以後同様)

この方法では、
1つの単語が合計5回復習される仕組みになります。

重要なのは、
人は必ず忘れるという前提に立つことです。

だからこそ、
忘れかけたタイミングで思い出すことが定着を生みます。

  • アウトプットを増やす

第二に、暗記の質、すなわち覚え方そのものが重要です。

単語は、見るだけでは覚えられません。
自分の力で思い出そうとして初めて定着します。

ここでいう「アウトプット」とは、
覚えたことを頭の中から取り出す、つまり「思い出す」ことを意味します。

具体的には、付属の赤シートなどを用いて、

  • 日本語を見て英語を言う
  • 英語を見て意味を思い出す

といった作業を行います。

このように「思い出す練習」を中心にすることが最大の効果を生みます。

理想的な割合は、なんと
インプット3:アウトプット7
とも言われています。

したがって、
覚える作業よりも、思い出す作業の時間を多く取るべきです。

こうした学習を積み重ねることで、
記憶は確実に定着していきます。

逆に言えば、
ただ眺めているだけでは、覚えたことにはなりません。

 

  • 音源を活用する(見落とされがちなポイント)

第三に、音源の活用は欠かせません。

現在の単語帳や教材には、音源にアクセスできる仕組みが整っていますが、
実際にはそれを十分に使っていない生徒が多いのが現状です。
これは大きな盲点です。

  • 音を聞く
  • 文字を見る
  • 意味を確認する

この三つを同時に行うことで、単語は音・形・意味が結びついた知識として定着します。

実際、単語は「自分なりに読める状態」になっているかどうかで、記憶の残り方が大きく変わります。

ただし、ここで重要なのは、音源を聴いてできるだけ「正しい音」で覚えることです。誤った読み方のまま覚えると、リスニングでその単語を聞き取れず、
「知っているのに分からない」という状態が起こります。

したがって、単語集を使う場合は、

  • 音を聞く
  • 声に出す
  • 音を意識して覚える

ことを基本とし、通学中などの時間も活用して、日常的に音に触れる習慣をつけることが重要です。

音を使わない単語学習は、半分しかやっていないのと同じ、と言っても過言ではありません。

  • スキマ時間の活用

次におすすめしたいちょっとしたコツが、「一日の中での」接触回数を増やすことです。

  • 通学時間
  • 待ち時間

こうした時間に何度も触れることで、
学習は「点」ではなく「線」になります。

  • 週末の高速復習

一方で、これらの方法にはひとつ弱点があります。
覚える個数が一日30個では、単語集一冊の周回が遅くなりやすい点です。

そこで、その弱点を補充するため、週末に次の分量の総復習を行います。

基本(多くの生徒)
→ その週+前週+前々週覚えた分(400〜500語)

上位層・難関大志望
それまでの範囲すべて

やり方は共通です。

  • 日本語をざっと確認
  • 覚えていない語に印をつける
  • 立ち止まらずテンポよく進める

ここで重要なのは、
週末は「覚える時間」ではなく「思い出す回数を増やす時間」であるという点です。

  • 単語学習の本質

本稿では、「単語集を使って単語を効率的に覚える方法」を述べてきましたが、最後に、本質を確認します。

実は、単語集で単語を覚えるやり方は、語学学習の王道ではありません。

高校3年間という限られた時間の中で、多くの単語を習得しなければならないという受験生の事情から生まれた、本来の語学学習とはやや異なる、便宜的な学習法です。

だからこそ、それだけに頼る学習では、語彙は本当の意味では身につきません。

これまでのコラムで再三にわたって述べてきたように、英語は
文の形で数多く接することで身につく言語です。

したがって単語も、

  • 多くの英文を読む
  • しっかり音読する
  • 暗唱できるまで繰り返す

こうした過程の中で繰り返し出会うことで、
初めて「使える語」へと変わっていきます。

その上で、単語帳は補助として用いる。

この順序こそが、

  • 読解力
  • 英作文力

の向上に直結し、入試での得点につながる語彙力を育てます。

これが英語学習の王道です。

  • まとめ

  • 回数で覚える(5回復習)
  • 思い出す練習を中心にする
  • 音・字・意味を結びつける
  • スキマ時間で接触回数を増やす
  • 週末に広い範囲を高速で回す

そして最終的には、英文の中で使える語彙へ

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